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PDOトランザクション、自動コミットモードをオフ

今回はPDOのトランザクション処理について説明します。
以下のようなテーブルを準備してください。
mysql> select * from test;
+----+------+------+
| id | num  | name |
+----+------+------+
|  1 |    1 | AAA  |
|  2 |   10 | BBB  |
|  3 |  100 | CCC  |
|  4 | 1000 | DDD  |
+----+------+------+
今まで色々なクエリを実行してきましたが、その変更内容が即時にデーターベースに反映されていました。
このようにPDOはデフォルトの設定ではクエリの実行内容を即時にDBに反映します。
これを「自動コミットモード(オートコミットモード)」といいます。

ですが、もし大量の追加(insert)、更新(update)、削除(delete)処理があった場合はどうでしょう?
当然処理に時間がかかるわけですから、まだ処理中の時にユーザからのアクセスがあり、中途半端な状態でページを表示してしまうことも考えられます。
また、途中でエラーが発生した場合も考えてください。
各関連テーブルで消えているレコードと消えていないレコードが存在し、不整合が発生した状態になることが考えられます。
というわけで、DBに反映するのは全てクエリが実行し終わってから、一気にDBに反映させたいものです。

これを解決するのが「トランザクション」です。
トランザクションはDBへの変更内容を一時的に蓄えておいて、 それを一気にDBに反映する処理をしてくれます。
PDOのトランザクションは以下のステップで実行されます。
beginTransactionメソッドでトランザクション開始

各種クエリを実行

正常時はcommitメソッドで変更内容をDBに反映(コミット)、トランザクション終了
異常時はrollBackメソッドで変更内容を破棄(ロールバック)、トランザクション終了
transactionメソッドはトランザクションを開始するためのものでもありますが、「オートコミットモードをオフにする」という意味もあります。
デフォルトではオートコミットモードだからです。
では、実際にコードを見てみましょう。
	try{
	
		//PDOオブジェクトの生成
		$pdo = new PDO("mysql:dbname=test;host=localhost",USERNAME,PASSWORD);
	
		//PDOのエラー時に例外(PDOException)が発生するように設定
		$pdo->setAttribute(PDO::ATTR_ERRMODE,PDO::ERRMODE_EXCEPTION);
		
		//トランザクション開始
		$pdo->beginTransaction();
		
		//updateを実行
		$pdo->exec("update test set name = 'TTT' where id = 2");
	
		//構文エラーを発生させる。
		$pdo->exec("updateeee test set name = 'aaa' where id = 1");
	
		//エラーがなければコミット
		$pdo->commit();
		
	}catch(PDOException $e){
		
		//エラー時はロールバックで変更内容を破棄
		$pdo->rollBack();
	
		//エラーメッセージと行番号表示
		echo $e->getMessage()." - ".$e->getLine().PHP_EOL;
	
	
	}
tryブロック内でupdate文を一つ実行した後に、わざと構文エラーで例外を発生させています。
そしてcatchブロック内で「rollBackメソッド」を実行しています。
これにより先程のupdate文の変更内容が破棄され、DBに反映されなくなっています。
つまり、大量のdeleteやupdateを実行した後にエラーが発生しても、その変更内容を一気に取り消せるということです。
オートコミットだとDBに反映されてしまっているので、いちいちデータの復活処理等を流さなければなりません。
そう考えるとこれは非常に便利な機能ですよね。
なお、正常にクエリを実行できた場合は必ず「commitメソッド」を実行してください。
これを実行し忘れた場合もDBに反映されません。

それと「rollBack」の処理が適用されるのは、beginTransaction以降の処理が対象です。
beginTransaction実行前に実行していたクエリは対象外ですので注意してください。

補足説明: 暗黙のコミット、トランザクション非対応のDB

補足説明として、まず暗黙のコミットについて説明しておきます。
上記で説明したトランザクションでは「insert」、「update」、「delete」処理は最後にcommitが実行された時点でDBに反映すると説明しました。
ですが、いくつかのステートメントにおいて「暗黙のコミット」が発生して、その時点で自動的にコミット(DBに反映)されてしまうものもあります。
例えばMySQLでは「ALTER TABLE、CREATE TABLE、CREATE INDEX、DROP TABLE、DROP INDEX」などでかなり沢山あります。
テーブルやDBの定義を変更、削除等をするものが中心です。
「暗黙のコミット」が発生するということは、その暗黙のコミットが実行されるまでに実行された処理全てが、その暗黙のコミットが実行された時点ですべてコミット(DBに反映)されてしまいます。

この暗黙のコミットが発生するステートメントはデーターベースによって違います。
MySQLの場合は「暗黙的なコミットを発生させるステートメント」のページに詳しく書かれています。
これを知っておかないとトラブルの原因になるのでトランザクションを使う際は注意してコーディングしましょう。

次に、トランザクション非対応のDBについて説明しておきます。
MySQLなどはトランザクションをサポートしているので問題ありませんが、トランザクションをサポートしていないDBや使用しているドライバがトランザクションをサポートしていない場合があります。
その場合は、PDOExceptionの例外が発生したり、トランザクションが使用されずに実行されたりしますので注意してください。


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