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今回はスレッドについて説明します。
処理を自動で動かす方法として、前回はタイマーを使って処理を行っていましたが、
スレッドというものを使っても同じようなことをすることができます。
タイマーを使った場合だとwindowメッセージを使って処理していたので、
もし他のメッセージの処理に時間がかかってしまうと、次のメッセージの処理が遅れてしまいます。
これはシングルスレッドの場合に起こってしまうことですが、
マルチスレッドにすると、これを回避することができます。
メッセージループの処理を扱うスレッドを主スレッドとすると、副スレッドというものを作成することができます。
これは主スレッドの動作とは関係なく、別で動いているので主スレッドの処理にはほぼ影響されずに、
処理を動かすことが出来ます。
スレッドとは一つ一つの処理単位のようなものですね。
では、スレッドの作成について説明していきます。
関数には、主スレッド(親スレッド)側から、CreateThread関数を呼び出します。
詳しい引数の説明はMSDNでご確認下さい。
使うのは第三引数から後ろの引数です。第一、二引数は両方0を指定すればデフォルトの値が設定されます。
第三引数にはスレッド時に実行する関数を指定します。
第四引数にはその引数を指定します。
第五引数には実行タイミングを指定します。
0だとすぐ実行、CREATE_SUSPENDEDを指定すると待機状態になります。
第六引数には、スレッド識別子を保存するためのDWORD型のポインタを指定します。
この関数が成功するとスレッドハンドルが返り、失敗するとNULLが返ります。
次にスレッド作成時に実行する関数を定義します。
スレッドを作成するとこの関数の中の処理が動くことになります。
これも型や引数が決まっていて、
の形で呼び出す必要があります。
この関数をLPTHREAD_START_ROUTINE型と言います。
ゆえに、CreateThread関数の第三引数はこの型にキャストする必要があります。
またこのスレッドを終了させるときには、ExitThread関数を使います。
引数には好きな終了コードを指定します。
この関数をスレッド内で実行するとそのスレッドが終了します。
スレッド内で単純にreturnなどで処理を終了させたと時は、
自動的にExitThread関数が実行されます。その場合は手動でExitThread関数を実行する必要はありません。
次にそのスレッドが終了しているかどうかをチェックします。別にこれは必須ではありません。
関数にはGetExitCodeThread関数を使います。
関数が成功すると、第二引数に指定したポインタに終了コードが書き込まれます。
この終了コードが、STILL_ACTIVEならまだスレッドは実行中で、
それ以外は終了していることになります。
最後に作成したスレッドはCloseHandle関数を実行させる必要があります。
引数にはCreateThread関数を実行した際の戻り値であるスレッドハンドルを指定します。
以上がスレッド実行から終了までの流れです。
以下がそれを表したコードになります。
これを実行すると、下記のような画面が表示され、タイトルのカウントが増えていきます。
まず最初に、
WM_CREATE(ウィンドウが作成された直後に飛んでくるMSG)のところで、
CreateThread関数を実行しています。
第四引数のスレッドに渡す引数には、「カウント数表示:」という文字列を指定しています。
第五引数はすぐ実行するので0を、第六引数のスレッド識別は今回は使わないのでNULLを指定してます。
スレッド関数のThread関数を見てください。
Whileループ内でさっき渡された文字列と、変数countの値をsprintfでくっつけて、
ウィンドウタイトルに表示しています。
それを1秒おきにループさせて実行しています。
Sleep関数は、引数にミリ秒の単位で値を指定すると、
その分だけ処理をそこで止めてくれます。
このスレッド関数はグローバル変数flagがfalseになるまでループし続けます。
ウィンドウプロシージャのWM_CLOSE(ウィンドウが閉じるときに飛んでくるMSG)では、
まずグローバル変数flagをfalseにして、スレッド処理を終了させてます。
その後、本当にスレッドが終了したかをしらべるため、
GetExitCodeThreadで終了コードを取得後、STILL_ACTIVE以外のMSGになるまで、つまり終了するまで、
ループし続けてます。
STILL_ACTIVE以外になると、スレッド側の処理が終わったことになるので、
CloseHandleで処理を完全に終了させてます。
なお、WM_CLOSEメッセージを直接処理した場合は、DestroyWindow関数を
実行するのを忘れないで下さい。
通常はデフォルトプロシージャで処理してますが、
手動の時はコレを実行しないとウィンドウが完全に終了されません。
以上がスレッドの説明になります。
次回はスレッドの待機・再開について説明します。
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スレッド
処理を自動で動かす方法として、前回はタイマーを使って処理を行っていましたが、
スレッドというものを使っても同じようなことをすることができます。
タイマーを使った場合だとwindowメッセージを使って処理していたので、
もし他のメッセージの処理に時間がかかってしまうと、次のメッセージの処理が遅れてしまいます。
これはシングルスレッドの場合に起こってしまうことですが、
マルチスレッドにすると、これを回避することができます。
メッセージループの処理を扱うスレッドを主スレッドとすると、副スレッドというものを作成することができます。
これは主スレッドの動作とは関係なく、別で動いているので主スレッドの処理にはほぼ影響されずに、
処理を動かすことが出来ます。
スレッドとは一つ一つの処理単位のようなものですね。
では、スレッドの作成について説明していきます。
関数には、主スレッド(親スレッド)側から、CreateThread関数を呼び出します。
HANDLE CreateThread(
LPSECURITY_ATTRIBUTES lpThreadAttributes, // セキュリティ記述子
DWORD dwStackSize, // 初期のスタックサイズ
LPTHREAD_START_ROUTINE lpStartAddress, // スレッドの機能
LPVOID lpParameter, // スレッドの引数
DWORD dwCreationFlags, // 作成オプション
LPDWORD lpThreadId // スレッド識別子
);
LPSECURITY_ATTRIBUTES lpThreadAttributes, // セキュリティ記述子
DWORD dwStackSize, // 初期のスタックサイズ
LPTHREAD_START_ROUTINE lpStartAddress, // スレッドの機能
LPVOID lpParameter, // スレッドの引数
DWORD dwCreationFlags, // 作成オプション
LPDWORD lpThreadId // スレッド識別子
);
詳しい引数の説明はMSDNでご確認下さい。
使うのは第三引数から後ろの引数です。第一、二引数は両方0を指定すればデフォルトの値が設定されます。
第三引数にはスレッド時に実行する関数を指定します。
第四引数にはその引数を指定します。
第五引数には実行タイミングを指定します。
0だとすぐ実行、CREATE_SUSPENDEDを指定すると待機状態になります。
第六引数には、スレッド識別子を保存するためのDWORD型のポインタを指定します。
この関数が成功するとスレッドハンドルが返り、失敗するとNULLが返ります。
次にスレッド作成時に実行する関数を定義します。
スレッドを作成するとこの関数の中の処理が動くことになります。
これも型や引数が決まっていて、
DWORD WINAPI スレッド名(LPVOID 引数名){
}
}
の形で呼び出す必要があります。
この関数をLPTHREAD_START_ROUTINE型と言います。
ゆえに、CreateThread関数の第三引数はこの型にキャストする必要があります。
またこのスレッドを終了させるときには、ExitThread関数を使います。
VOID ExitThread(
DWORD dwExitCode // このスレッドの終了コード
);
DWORD dwExitCode // このスレッドの終了コード
);
引数には好きな終了コードを指定します。
この関数をスレッド内で実行するとそのスレッドが終了します。
スレッド内で単純にreturnなどで処理を終了させたと時は、
自動的にExitThread関数が実行されます。その場合は手動でExitThread関数を実行する必要はありません。
次にそのスレッドが終了しているかどうかをチェックします。別にこれは必須ではありません。
関数にはGetExitCodeThread関数を使います。
BOOL GetExitCodeThread(
HANDLE hThread, // スレッドのハンドル
LPDWORD lpExitCode // 終了ステータス
);
HANDLE hThread, // スレッドのハンドル
LPDWORD lpExitCode // 終了ステータス
);
関数が成功すると、第二引数に指定したポインタに終了コードが書き込まれます。
この終了コードが、STILL_ACTIVEならまだスレッドは実行中で、
それ以外は終了していることになります。
最後に作成したスレッドはCloseHandle関数を実行させる必要があります。
BOOL CloseHandle(
HANDLE hObject // オブジェクトのハンドル
);
HANDLE hObject // オブジェクトのハンドル
);
引数にはCreateThread関数を実行した際の戻り値であるスレッドハンドルを指定します。
以上がスレッド実行から終了までの流れです。
以下がそれを表したコードになります。
#include <windows.h> #include <stdio.h> #define MSG(m) {\ MessageBoxA(NULL,m,NULL,MB_OK);} //ウィンドウハンドル HWND hwnd; //インスタンスハンドル HINSTANCE hinst; //ウィンドウ横幅 #define WIDTH 500 #define HEIGHT 300 bool flag=true; //スレッド関数 DWORD WINAPI Thread(LPVOID *data) { int count=0; char buf[1000]; while(flag){ //カウントをウィンドウタイトルに表示 sprintf(buf,"%s%d",data,count); SetWindowText(hwnd,buf); ++count; //1000ミリ秒(1秒)おきにループ Sleep(1000); } ExitThread(0); } LRESULT CALLBACK WinProc(HWND hwnd,UINT msg,WPARAM wp,LPARAM lp) { static HANDLE th; DWORD result; switch(msg){ case WM_DESTROY: PostQuitMessage(0); return 0; case WM_CREATE: //スレッドを作成 th=CreateThread(0,0,(LPTHREAD_START_ROUTINE)Thread,(LPVOID)"カウント数表示:",0,NULL); return 0; case WM_CLOSE: //フラグをfalseにしてスレッドを終了させる。 flag=false; while(1){ //スレッドが終わったかチェック GetExitCodeThread(th,&result); //終わったらハンドルを閉じる。 if(STILL_ACTIVE!=result){ //closehandleで閉じる。 CloseHandle(th); //ループを抜ける。 break; } } //ウィンドウを破棄 DestroyWindow(hwnd); return 0; } return DefWindowProc(hwnd,msg,wp,lp); } int WINAPI WinMain(HINSTANCE hInstance,HINSTANCE hPrevInstance,LPSTR lpCmdLine,int nShowCmd) { MSG msg; WNDCLASS wc; wc.style=CS_HREDRAW | CS_VREDRAW; wc.lpfnWndProc=WinProc; wc.cbClsExtra=wc.cbWndExtra=0; wc.hInstance=hInstance; wc.hCursor=wc.hIcon=NULL; wc.hbrBackground=(HBRUSH)GetStockObject(BLACK_BRUSH); wc.lpszClassName="test"; wc.lpszMenuName=NULL; if(!RegisterClass(&wc)){ MSG("クラスの登録失敗"); return -1; } hwnd=CreateWindowA("test","テストウィンドウ",WS_VISIBLE | WS_CAPTION | WS_SYSMENU | WS_MINIMIZEBOX, 0,0,400,400,NULL,NULL,hInstance,NULL); if(hwnd==NULL){ MSG("ウィンドウ作成失敗"); return -1; } //インスタンスハンドル hinst=hInstance; //エラーチェック用変数 int check; while(check=GetMessage(&msg,NULL,0,0)){ if(check==-1){ break; } DispatchMessage(&msg); } //クラス解放 UnregisterClass("test",hinst); return 0; }
これを実行すると、下記のような画面が表示され、タイトルのカウントが増えていきます。
まず最初に、
WM_CREATE(ウィンドウが作成された直後に飛んでくるMSG)のところで、
CreateThread関数を実行しています。
第四引数のスレッドに渡す引数には、「カウント数表示:」という文字列を指定しています。
第五引数はすぐ実行するので0を、第六引数のスレッド識別は今回は使わないのでNULLを指定してます。
スレッド関数のThread関数を見てください。
Whileループ内でさっき渡された文字列と、変数countの値をsprintfでくっつけて、
ウィンドウタイトルに表示しています。
それを1秒おきにループさせて実行しています。
Sleep関数は、引数にミリ秒の単位で値を指定すると、
その分だけ処理をそこで止めてくれます。
このスレッド関数はグローバル変数flagがfalseになるまでループし続けます。
ウィンドウプロシージャのWM_CLOSE(ウィンドウが閉じるときに飛んでくるMSG)では、
まずグローバル変数flagをfalseにして、スレッド処理を終了させてます。
その後、本当にスレッドが終了したかをしらべるため、
GetExitCodeThreadで終了コードを取得後、STILL_ACTIVE以外のMSGになるまで、つまり終了するまで、
ループし続けてます。
STILL_ACTIVE以外になると、スレッド側の処理が終わったことになるので、
CloseHandleで処理を完全に終了させてます。
なお、WM_CLOSEメッセージを直接処理した場合は、DestroyWindow関数を
実行するのを忘れないで下さい。
通常はデフォルトプロシージャで処理してますが、
手動の時はコレを実行しないとウィンドウが完全に終了されません。
以上がスレッドの説明になります。
次回はスレッドの待機・再開について説明します。
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