>> C++入門トップに戻る

クラスの継承

今回はクラスの継承について説明します。
クラスの継承とは、あるクラスの機能(変数や関数)を引き継いで、新しいクラスを作ることです。
継承元のクラスのことを、基底クラス、または基本クラスといい、継承先のクラスを派生クラスと言います。
派生クラスは基底クラスのpublic、protectedの修飾子が指定された変数や関数を引き継いで使うことが可能です。
private修飾子が指定されていたものはそのクラス内でのみしかアクセスできないので、
派生クラスでも使うことは不可能です。
それではまずコードを見てください。

#include <stdio.h>

//基底クラスTEST
class TEST{
private:
	int pv;
protected:
	int figure;
	TEST(){
		figure=10;
		pv=5;
	}
};

//派生クラスSUPER
class SUPER : public TEST{
private:
	int superfigure;
public:
	//コンストラクタで基底クラスのfigure変数をsuprefigureに代入後、表示
	SUPER(void){
		superfigure=figure;
		printf("%d\n",superfigure);
	}
};

int main(void)
{
	//派生クラスSUPERのポインタを宣言
	SUPER *test;

	//newを使って動的確保
	test=new SUPER;

	delete test;

	return 0;
}

これを実行すると「10」と表示されます。

まず基底クラスTESTを定義しています。これは大丈夫ですね。
次にその下のSUPERというクラスがTESTクラスを継承した派生クラスです。
継承の書き方は、

class 派生クラス名 : 継承修飾子 基底クラス名{

};

です。
ここに書く継承修飾子には次の意味があります。

●public・・・基底クラスで設定したアクセス修飾子の設定をそのまま引き継ぐ
●protected・・・基底クラスでpublicだったものを、protectedにして引き継ぐ。他はそのまま。
●private・・・基底クラスのメンバを全てprivateで引き継ぐ。


publicの場合はそのまま引き継ぐので説明は要らないと思いますが、
protectedやprivateの時の意味はわかりますでしょうか?
例えば、継承修飾子をprotectedで修飾した場合、
基底クラスでpublicだったメンバは派生クラスではprotected扱いになるので、
外部からはアクセスできません。
同じく、継承修飾子がprivateだった場合は、当然外部からもアクセスできなくなりますし、
そのクラスを再継承したとしても、その先の派生クラスからはアクセスできなくなります。
まあ、今後プログラミングをしていくうえで、継承修飾子はほとんどpublicを使っていくことになると思いますので、
そんなに気にしなくていいと思います^^

派生クラスで使える変数や関数は、基底クラス内のアクセス修飾子で、protectedかpublicで定義したものだけです。
privateで設定しているものは派生クラスからでもアクセス(実行)できないので注意して下さい。
ちなみに逆は無理です。
つまり、基底クラスから派生クラスの変数や関数にアクセスすることは、
どのアクセス修飾子でも不可能ということです。
これで継承の書き方、仕組みは理解できたでしょうか?

ではコードの詳しい説明に入ります。
まず、main関数でSUPERクラスを動的確保します。
動的確保した時は何が実行されるか覚えていますか?
そうコンストラクタです。
ですが、今回は継承したクラスを動的確保しています。
コードを見てもらうと、基底クラスにもコンストラクタがあります。
どちらのコンストラクタが実行されるのでしょうか?
答えは、基底クラスのコンストラクタが実行された後に派生クラスのコンストラクタが実行されるです。
ですので、今回の処理の流れはこうなっています。

【1】newでSUPERクラスを動的確保

【2】基底クラスTESTのコンストラクタが実行 (figure=10,pv=5がセットされる)

【3】派生クラスSUPERのコンストラクタが実行される(基底クラスのfigure変数を代入し、printfで表示)

こういう流れで10という数字が表示されていたんですね。
わかりましたでしょうか?
ちなみに、動的確保するということは、外部からアクセスされているということになるので、
基底クラスと派生クラスのコンストラクタのアクセス修飾子はpublicでなければなりません。

では、ついでにデストラクタの場合ですが、コンストラクタとは逆の順番で実行されます。
つまり、派生クラス→基底クラスの順に実行されます。

また、今回は派生クラスをインスタンスを作成(動的確保)した時には、
SUPERクラスのポインタでそのポインタで受け取っていましたが、
SUPERクラスはTESTクラスを継承しているので、
TESTクラスのポインタでも、その動的確保したポインタを受け取ることができます。
つまり、

TEST *test;
test = new SUPER;

という書き方も可能ということです。
後は同じように実行されます。
一つ違うことと言えば、基底クラスと派生クラスに同じ関数名を定義して実行した場合です。
この場合は、受け取るポインタのクラスに従って実行されます。
つまり、
TEST *test
test = new SUPER;
とした場合は、TESTクラス(基底クラス)側の関数が実行されます。
SUPER *testとすれば、派生クラス側の関数が実行されます。
同じ関数名を定義する際はこの違いに注意して下さい。
他には何の意味があるんだ?と疑問に思う方もいるかもしれませんが、
これは後ほど勉強予定の仮想関数というので訳に立ちます。
是非覚えておいて下さい。

今回はここまで。
次回は仮想関数について説明します。


>> 【仮想関数】に進む
>> C++入門トップに戻る