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今回はスレッド間の排他制御について説明します。
排他制御とはあるデータに複数のスレッドからアクセスがあった場合、
同時に値が書き込み読み込みをされてしまうと、データに問題が発生する可能性があるため、
一方のスレッドが書き込み読み込み中の間は、他のスレッドを待機状態にさせて利用できないようにする仕組みです。
例えばある領域のグローバル変数に対して、複数のスレッドから書き込みがあった時にどうなるでしょう?
想像するだけで怖いですよね。どうなるか分かったもんじゃありません。
そういった状況を回避するために、排他制御の仕組みを使います。
WINAPIではクリティカルセクションという仕組みを使って排他制御を実現できます。
まず、CRITICAL_SECTION構造体という構造体を使い、
クリティカルセクションオブジェクトを作成します。
このオブジェクトを所有しているスレッドだけが処理を実行できるという仕組みです。
作成にはInitializeCriticalSection関数を使います。
引数にはCRITICAL_SECTION構造体のポインタを指定します。
CRITICAL_SECTIONオブジェクトのメンバは何も使わないので気にする必要はありません。
ただ引数に指定するだけで使えます。
次にそのクリティカルセクションオブジェクトを保持する関数であるEnterCriticalSection関数を使います。
引数はCRITICAL_SECTION構造体のポインタを指定するだけです。
この関数を実行すると該当のクリティカルセクションオブジェクトが他のスレッドで使われていないかを調べ、
使われていれば待機し、使われていなかったらそのクリティカルセクションオブジェクトを保持します。
次にそのスレッドの処理が終わったら、クリティカルセクションオブジェクトを解放する必要があります。
自分はもう処理終わったよ、と他のスレッドに教えるためですね。
関数にはLeaveCritivalSection関数を使います。
引数はCRITICAL_SECTION構造体のポインタを指定するだけです。
これを実行することでクリティカルセクションオブジェクトが解放され、
他の待機中だったスレッドにクリティカルセクションオブジェクトの所有権が移ります。
この二つの関数をそれぞれのスレッドで実行してやれば、排他制御ができるというわけです。
最後に作成したクリティカルセクションオブジェクトは、
DeleteCriticalSection関数で破棄する必要があります。
引数はCRITICAL_SECTION構造体のポインタを指定するだけです。
以上を表したのが下記のコードになります。
これを実行するとウィンドウが開き、
ウィンドウタイトルの数字が1000まで増えた後、0まで減少していきます。
コードの説明をします。
WM_CREATEのところで、クリティカルセクションオブジェクトの作成とスレッドを2つ作成しています。
スレッドの第四引数にはCRITICAL_SECTION構造体のポインタを指定してます。
二つのスレッドで使う為ですね。
では二つのスレッドのコードを見てください。
Thread1の方ではグローバル変数countを1000まで増加させる処理を書いています。
Thread2の方ではグローバル変数countを0まで減少させる処理を書いています。
それぞれEnterCriticalSectionとLeaveCriticalSection関数でその処理を挟んでますね。
それぞれの引数には先程スレッド作成時に渡したCRITICAL_SECTION構造体のポインタを指定してます。
まず、2つのスレッドはほぼ同時に起動していますから、
どちらのEnterCriticalSectionが先に所有権を取るかはわかりません。
それはwindowsの判断です。
先に取った方は独占してグローバル変数countの処理を行うことが出来ます。
取られた方は相手側スレッドのLeaveCritivalSectionが実行するまで、EnterCriticalSectionの
ところで処理が止まっています。
基本は先に実行したスレッドがまず所有権を取るので、
まずカウントが1000まで増えて、0まで減少していく光景が見られるはずです。
このような仕組みを使ってグローバル変数countが競合されないように排他制御を実現することができます。
スレッド間の排他制御の説明は以上です。
次回はプロセス・スレッド間の排他制御(ミューテックス)について説明します。
>> 【プロセス・スレッド間の排他制御(ミューテックス)|】に進む
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スレッド間の排他制御(クリティカルセクション)
排他制御とはあるデータに複数のスレッドからアクセスがあった場合、
同時に値が書き込み読み込みをされてしまうと、データに問題が発生する可能性があるため、
一方のスレッドが書き込み読み込み中の間は、他のスレッドを待機状態にさせて利用できないようにする仕組みです。
例えばある領域のグローバル変数に対して、複数のスレッドから書き込みがあった時にどうなるでしょう?
想像するだけで怖いですよね。どうなるか分かったもんじゃありません。
そういった状況を回避するために、排他制御の仕組みを使います。
WINAPIではクリティカルセクションという仕組みを使って排他制御を実現できます。
まず、CRITICAL_SECTION構造体という構造体を使い、
クリティカルセクションオブジェクトを作成します。
このオブジェクトを所有しているスレッドだけが処理を実行できるという仕組みです。
作成にはInitializeCriticalSection関数を使います。
VOID InitializeCriticalSection(
LPCRITICAL_SECTION lpCriticalSection // クリティカルセクション
);
LPCRITICAL_SECTION lpCriticalSection // クリティカルセクション
);
引数にはCRITICAL_SECTION構造体のポインタを指定します。
CRITICAL_SECTIONオブジェクトのメンバは何も使わないので気にする必要はありません。
ただ引数に指定するだけで使えます。
次にそのクリティカルセクションオブジェクトを保持する関数であるEnterCriticalSection関数を使います。
VOID EnterCriticalSection(
LPCRITICAL_SECTION lpCriticalSection // クリティカルセクション
);
LPCRITICAL_SECTION lpCriticalSection // クリティカルセクション
);
引数はCRITICAL_SECTION構造体のポインタを指定するだけです。
この関数を実行すると該当のクリティカルセクションオブジェクトが他のスレッドで使われていないかを調べ、
使われていれば待機し、使われていなかったらそのクリティカルセクションオブジェクトを保持します。
次にそのスレッドの処理が終わったら、クリティカルセクションオブジェクトを解放する必要があります。
自分はもう処理終わったよ、と他のスレッドに教えるためですね。
関数にはLeaveCritivalSection関数を使います。
VOID LeaveCriticalSection(
LPCRITICAL_SECTION lpCriticalSection // クリティカルセクション
);
LPCRITICAL_SECTION lpCriticalSection // クリティカルセクション
);
引数はCRITICAL_SECTION構造体のポインタを指定するだけです。
これを実行することでクリティカルセクションオブジェクトが解放され、
他の待機中だったスレッドにクリティカルセクションオブジェクトの所有権が移ります。
この二つの関数をそれぞれのスレッドで実行してやれば、排他制御ができるというわけです。
最後に作成したクリティカルセクションオブジェクトは、
DeleteCriticalSection関数で破棄する必要があります。
VOID DeleteCriticalSection(
LPCRITICAL_SECTION lpCriticalSection // クリティカルセクション
);
LPCRITICAL_SECTION lpCriticalSection // クリティカルセクション
);
引数はCRITICAL_SECTION構造体のポインタを指定するだけです。
以上を表したのが下記のコードになります。
#include <windows.h> #include <stdio.h> #define MSG(m) {\ MessageBoxA(NULL,m,NULL,MB_OK);} //ウィンドウハンドル HWND hwnd; //インスタンスハンドル HINSTANCE hinst; //ウィンドウ横幅 #define WIDTH 500 #define HEIGHT 300 //グローバル変数count int count; DWORD WINAPI Thread1(LPVOID *data) { char buf[1000]; // EnterCriticalSection((LPCRITICAL_SECTION)data); while(count<1000){ //カウントをウィンドウタイトルに表示 sprintf(buf,"%d",count); SetWindowText(hwnd,buf); ++count; Sleep(10); } LeaveCriticalSection((LPCRITICAL_SECTION)data); ExitThread(0); } DWORD WINAPI Thread2(LPVOID *data) { char buf[1000]; EnterCriticalSection((LPCRITICAL_SECTION)data); while(count>-1){ //カウントをウィンドウタイトルに表示 sprintf(buf,"%d",count); SetWindowText(hwnd,buf); --count; Sleep(10); } LeaveCriticalSection((LPCRITICAL_SECTION)data); ExitThread(0); } LRESULT CALLBACK WinProc(HWND hwnd,UINT msg,WPARAM wp,LPARAM lp) { static CRITICAL_SECTION cs; static HANDLE th1,th2; switch(msg){ case WM_DESTROY: CloseHandle(th1); CloseHandle(th2); DeleteCriticalSection(&cs); PostQuitMessage(0); return 0; case WM_CREATE: //クリティカルセクションを作成 InitializeCriticalSection(&cs); //スレッドを2個作成 th1=CreateThread(0,0,(LPTHREAD_START_ROUTINE)Thread1,(LPVOID)&cs,0,NULL); th2=CreateThread(0,0,(LPTHREAD_START_ROUTINE)Thread2,(LPVOID)&cs,0,NULL); return 0; } return DefWindowProc(hwnd,msg,wp,lp); } int WINAPI WinMain(HINSTANCE hInstance,HINSTANCE hPrevInstance,LPSTR lpCmdLine,int nShowCmd) { MSG msg; WNDCLASS wc; wc.style=CS_HREDRAW | CS_VREDRAW; wc.lpfnWndProc=WinProc; wc.cbClsExtra=wc.cbWndExtra=0; wc.hInstance=hInstance; wc.hCursor=wc.hIcon=NULL; wc.hbrBackground=(HBRUSH)GetStockObject(BLACK_BRUSH); wc.lpszClassName="test"; wc.lpszMenuName=NULL; if(!RegisterClass(&wc)){ MSG("クラスの登録失敗"); return -1; } hwnd=CreateWindowA("test","テストウィンドウ",WS_VISIBLE | WS_CAPTION | WS_SYSMENU | WS_MINIMIZEBOX, 0,0,400,400,NULL,NULL,hInstance,NULL); if(hwnd==NULL){ MSG("ウィンドウ作成失敗"); return -1; } //インスタンスハンドル hinst=hInstance; //エラーチェック用変数 int check; while(check=GetMessage(&msg,NULL,0,0)){ if(check==-1){ break; } DispatchMessage(&msg); } //クラス解放 UnregisterClass("test",hinst); return 0; }
これを実行するとウィンドウが開き、
ウィンドウタイトルの数字が1000まで増えた後、0まで減少していきます。
コードの説明をします。
WM_CREATEのところで、クリティカルセクションオブジェクトの作成とスレッドを2つ作成しています。
スレッドの第四引数にはCRITICAL_SECTION構造体のポインタを指定してます。
二つのスレッドで使う為ですね。
では二つのスレッドのコードを見てください。
Thread1の方ではグローバル変数countを1000まで増加させる処理を書いています。
Thread2の方ではグローバル変数countを0まで減少させる処理を書いています。
それぞれEnterCriticalSectionとLeaveCriticalSection関数でその処理を挟んでますね。
それぞれの引数には先程スレッド作成時に渡したCRITICAL_SECTION構造体のポインタを指定してます。
まず、2つのスレッドはほぼ同時に起動していますから、
どちらのEnterCriticalSectionが先に所有権を取るかはわかりません。
それはwindowsの判断です。
先に取った方は独占してグローバル変数countの処理を行うことが出来ます。
取られた方は相手側スレッドのLeaveCritivalSectionが実行するまで、EnterCriticalSectionの
ところで処理が止まっています。
基本は先に実行したスレッドがまず所有権を取るので、
まずカウントが1000まで増えて、0まで減少していく光景が見られるはずです。
このような仕組みを使ってグローバル変数countが競合されないように排他制御を実現することができます。
スレッド間の排他制御の説明は以上です。
次回はプロセス・スレッド間の排他制御(ミューテックス)について説明します。
>> 【プロセス・スレッド間の排他制御(ミューテックス)|】に進む
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